レトロな古いイスを張り替えるために、そのシートを剥がしていくと、昔の職人さんの張り方が分かるだけでなく、その材料からも、時代を感じることができます。
クッション材に、稲藁や芝草を使っていたことは、先日のスツールの張り替えの頁でも触れましたが、
上張りのモケットの生地を取り去った、その下。
真綿の下の稲藁の下に…。
麻布が見えました。
昭和初期、もしくはもっと前、大正時代のイスですので、麻布の下にあるバネが当たって擦り切れたり、布自体が長い時間で劣化してもろくなって、破れています。
このイスに使われている麻布には、何か文字が印刷されているようです。
向きを変えて、ちょっとアップに…。
“BRASIL”
ブラジルと書いてあります!
昔は、ブラジルから輸入したコーヒー豆が入っていた麻袋を、イス張りに使っていたと、年配の職人さんから聞いていました。
モノが豊富にある時代ではなかったし、丈夫なコーヒー豆の袋を捨てるのはもったいないから、らしいです。
今まで目にしたのは、無地の麻布ばかりでしたので、「コーヒー豆の袋」を実感することがなく張り替え作業をしていました。
「なるほど、これが!!」と、実感した次第です。
今は、再利用することもなく…、
便利になりました。