昔の家具の接着は、膠(にかわ)を使っていました。
それは、知ってるけど、使ったことはありませんでした。

粒状の膠です。
老齢の職人さんが、
15、6歳の頃、丁稚の朝イチの仕事は、まず、職人さんが使う膠の準備だった、って、昔の話によく出てきました。
粒状の膠は、元々、棒状のものを、溶けやすいように小さくしたものですが、それでも、溶かすのにちょっと時間がかかったそうです。

こんなような容器を使って、膠は、湯煎で溶かします。
そもそも、膠って…
動物の骨や皮を煮詰めて作ったもので、主成分はゼラチンです。
ということは、温めると溶けて、冷えると固まります。
肉や魚料理の「煮こごり」を想像すると、わかりやすいですかね。
だから、液状に溶かした膠が、冷えて固まることで、接着するとこができるということは、
温めると、溶けるので、外せるんです。
修理できるんですねー。
ですので、いまでも、楽器などの製作に使われています。

ここからは、先日、職人さんから聞いたこと。
どうやって使うのか、です。
(あくまで、ある職人さんの経験のお話なので、ちょっと違うかも知れません)
湯煎で溶かした膠を、接着したいものの片面に塗って、もう片面には、ホルマリンを塗るそうです。
ホルマリンは、硬化剤のようなもんだそうです。
膠同士でもくっつくのでしょうが、固まるのに時間がかかるってことなんでしょうね。
張り合わせる時は、ピタッと合わせるだけではダメで、接着面を何回か擦り合わせるそうです。
職人さんが言うには、擦り合わせていると、ある瞬間にピタッと固まるらしく、そのタイミングを計りながら、なかなかコツがいるようです。
以前、知識として、
溶かした膠は、木の組織の穴の中に、根を張るように入り込むので、ガッチリとくっつくと聞きました。
修理の時には、外すこともできるし、優れた接着剤とも言えるのですが、やはり、扱いが面倒なので、その後に出てきたボンドなどの接着剤が主流になったんでしょうね。
確かに、お手軽…ではないですもんね。
でも、最近は、膠タイプの接着剤というのもあるそうで……