
少し前。
あるお客さまから、修理のご依頼を受けて、無事にお客さまの元に帰っていったちゃぶ台です。
小さなお子さんたちのいらっしゃるご家族でご愛用のちゃぶ台。
ちゃぶ台としては、小さいので、お子さんたちが使うのにとても重宝しているそうです。
でも、お子さんが、天板の端に手をついて、体重を乗せちゃったことで、割れてしまったそうです。
実は、このちゃぶ台は、お子さんたちのお母さんのひいおじいさんが、昔、作られたもので、長い間、ご実家で眠っていたのを、若いご家族が引き継がれて、ご愛用されているとのことでした。
ひいおじいさんは、なんでも、とても器用な方で、木工職人さんではないけれど、いろんなものを作られたそうです。
修理しながら拝見しましたが、まるで本職さんが作ったような、構造、加工方法で、本当に職人並みに器用な方だったんだなぁとビックリです。

見事にパキッと割れてしまっていました。
会ったことはないけれど、ご自分のひいおじいさんが作ったちゃぶ台を、大事に使い続けたいという思いをお伺いして、修理させていただきました。
長く使い続けるうちに、塗装も剥がれていますが、それもこのちゃぶ台の大事な歴史なので、塗装はそのままで、割れた天板の接着だけして欲しいというご希望です。

天板の厚みが充分というわけではないですが、割れた箇所を補強しつつ、貼り合わせました。
割れたところは、触らずに、そのままお持ちいただいたので、割れた面同士は、隙間なく合わさりました。
といっても、よく見ると、割れたところに一本の筋が見えます。
割れたことは、「なかったこと」にはできませんが、その跡も、他のキズなども含めて、大切に使っていきたいと仰っていただきました。
ちゃぶ台も、作ったひいおじいさんも、きっと喜ばるでしょうね。

塗装を剥がして、少し研磨すると、小さなキズなどは、目立たなくなったり、消すこともできます。
キレイになるけど、それじゃあ、ちょっと淋しいかなぁ・・・
ということで、塗り直しはなしです。
でも、こっそりと、オイルとワックスで、メンテナンスさせていただきました。
何十年もの間、道具として頑張ってきたので、お肌はカサカサです。
でも、質のいい材料で、きっちりとした加工方法で作られたちゃぶ台は、大きな反りや歪み、ガタツキもなく、多少の潤いがなくても、まだまだ役目を果たせる健康優良児という感じでした。
これからも、わんぱく盛りのお子さんたちと、おやつを食べたり、勉強したり、、、まだまだ、大活躍するんでしょうね。