新しいものって、魅力的です。
魅惑的で、ついついいろいろ欲しくなってしまいます。
でも、古いものって、新しいものにはない、味わい深さがあって、たまりません。
時間の経過によってできた本物の味わいは、作ろうと思って作れるものではないですよね。
と言っても、時間の経過による、ほど良い味わいを通り越して、保管のされ方によっては、かなり傷んでいるものもあります。
今回のこの本箱は、使われなくなってから、ちょっと雨風の当たるところに置いてあったようです。
側面の框で組まれた中にはめ込んである「鏡板」は、合板です。合板は、薄く切った単板を互い違いに重ねて作ってあるもので、それが、湿気などで、重なった層が剥がれてしまって、ボロボロです。
背中も同じく合板なので、この通りです。
そして、合板だけでなく、足元の木の部材も湿気で傷んでいました。
特に、向かって右側の痛みが激しく、塗装も剥がれてしまって、カサカサ状態です。
まずは、取り外せるモールガラスは、割れないように避難して、傷んでいるところを撤去です。
本体も傷んでいますが、引き出しの底板の合板も、底が抜けそうな感じでしたので、取り外して交換です。
傷んでいるところの取り換えは、必要最小限にとどめています。
キズも欠けも、使用上、特に問題の無いものは、その家具の歴史のシルシと考えます。
塗装が剥がれているところや、新しく取り換えた部材の色を合わせます。
仕上がりまで、あと一歩です。
こうして直したものが、また新たな使われ方をする日が、楽しみです。