
今は、合板が使われることがほとんどの、引き出しの底板ですが、昔の家具は、無垢板を薄く削った板を底板にしていました。
無垢板は、年月とともに、少しずつ少しずつ、収縮していきます。
この引き出しの家具は、今から50年以上前に作られたと思われます。
薄く削った板を、2枚横並びに貼りあわせて、幅の広い板を作って、引き出しの底板にしてあります。
その貼り合わせた継ぎ目が、板が縮んだことで剥がれて、隙間が空いてしまいました。
その隙間は、1.5ミリぐらいでしょうか。
少しの隙間ですが、引き出しの底ですので、具合悪いですよね。
そこで、この隙間をなくす修理にとりかかりました。

引き出しの底板は、左右の側板の溝に板を差し込んで、前後を釘止めしてあることが多く、釘を数本抜くことで、板を外すことができます。
といっても、釘はしっかり打ち込まれているので、抜くのは、そうそう簡単ではありませんが…。
今回は、底板の一部だけ外しました。
釘は、前後に1本ずつ抜きました。

外した板の側面に、接着剤を付けて、元通りに1枚の底板になるように貼り合わせるように戻します。
あとは、板の前後を釘で止めて完成です。
この引き出しは、元々の底板を使って修理しました。
50年以上経っていると、ちょっとシミがあったり、変色していたりしていますが、板自体は、年数が経って、乾燥も進み、とてもしっかりしたいい状態なのです。(「板が縮んだ」ということは、それだけ「締まった」ということなんです)